妊娠5ヶ月目の「戌の日」が近づくと、安産祈願のことが気になり始めますね。「体調が少し心配だから、ご祈祷まではせずに参拝だけにしたい」「仰々しい儀式はしなくてもいいかな」と考える方も多いのではないでしょうか。
しかし、一生に何度もないことですから、「参拝だけで済ませて本当にいいの？」「バチが当たったりしない？」と不安になってしまうのも自然なことです。
結論から言うと、安産祈願は参拝だけでも全く問題ありません。神様や仏様にとって最も大切なのは、形式よりも「無事を願う心」だからです。この記事では、参拝だけで済ませる人の意外な割合や、失礼にならないマナー、そしてスピリチュアルな視点での心の持ち方をやさしく解説します。
安産祈願で「参拝だけ」の割合はどのくらい？実態を調査
安産祈願といえば、社殿の中で神主さんにご祈祷をしてもらう姿をイメージするかもしれません。しかし、最近ではライフスタイルや考え方の変化に伴い、その形も多様化しています。「参拝だけ」という選択は、決して珍しいことではないのです。
意外と多い？参拝のみを選択するカップルの現状
妊婦さん向けの情報サイトやアンケート調査の結果を見ると、安産祈願で「正式なご祈祷を受けた」という人は全体の約6割程度にとどまるというデータが多く見られます。
裏を返せば、残りの約3割から4割の方は「参拝のみでお守りを購入した」あるいは「体調を考慮して何もしなかった」という選択をしていることになります。3人に1人以上が、ご祈祷を受けないスタイルを選んでいると考えると、少し安心できるのではないでしょうか。
「みんながやっているから」という理由だけで無理をする必要はありません。現代においては、ご祈祷なしの参拝も一般的な選択肢の一つとして定着しています。
ご祈祷を受けない主な理由とは
参拝だけに決めた先輩ママたちの理由は実にさまざまです。最も多いのは、やはり「妊婦さんの体調面」です。ご祈祷を受ける場合、待ち時間を含めて長時間座っていなければならず、つわりや腰痛がある時期には辛いものがあります。
また、「初穂料（ご祈祷料）を節約して、その分をベビー用品に回したい」という現実的な理由や、「パートナーと休みが合わず、自分ひとりや実母と行くので手軽に済ませたい」というケースもあります。
どの理由も、これから生まれてくる赤ちゃんや母体の生活を守るための大切な判断です。そこに優劣はありません。
2人目以降の変化と実情
1人目の時は張り切ってご祈祷を受けたけれど、2人目以降は「参拝だけ」にするというケースは非常に多いです。上の子のお世話をしながら静粛な場でのご祈祷を受けるのは、現実的にハードルが高いからです。
「上の子が騒いでしまわないか心配で、祈りに集中できない」という事態を避けるため、家族みんなで境内を散歩し、お賽銭を入れて手を合わせるだけにする。これは家族の平穏を守るための賢い選択と言えるでしょう。
神様も、幼い子供が無理をして静かにしていることより、家族が笑顔でお参りできることを喜んでくれるはずです。
参拝だけでもご利益はある？スピリチュアルな視点で考える
「お金を払ってご祈祷を受けないと、神様に願いが届かないのでは？」と不安に思う方もいるかもしれません。しかし、スピリチュアルな観点から見れば、そのような心配は無用です。ここでは、目に見えないエネルギーの視点から解説します。
神様や仏様への「気持ち」が一番大切
スピリチュアルな世界において、祈りの力は「対価」で決まるものではありません。神様や仏様はビジネスをしているわけではないので、「1万円払ったから叶える」「お賽銭だけだから守らない」という取引のような考え方はしないのです。
最も重要なのは、あなたの内側から発せられる「無事に生まれてきてほしい」という純粋な愛と願いのエネルギーです。その思いが真剣であれば、社殿の外から手を合わせるだけでも、その波長は高次元の存在にしっかりと届きます。
形式にとらわれすぎて心が不安になるよりも、リラックスして温かい気持ちで手を合わせる方が、ポジティブなエネルギーが循環します。
参拝のみでもバチは当たらないので安心を
「きちんとした儀式をしないとバチが当たる」というのは、一種の迷信や思い込みに過ぎません。神社の境内やお寺の敷地は、そこ自体が「イヤシロチ（弥盛地）」と呼ばれるエネルギーの高い場所です。
その場に足を運び、深呼吸をして、清らかな空気に触れるだけでも、十分な浄化とエネルギーチャージになります。神様は、新しい命を宿したお母さんが無理をして儀式を受けることよりも、母子が健やかであることを何より望んでいます。
「今日はご挨拶に来ました。見守っていてください」と心の中で語りかけるだけで、強力な守護の絆は結ばれます。
お守りや御朱印をいただくことの意味
ご祈祷を受けない代わりに、お守りや御朱印をいただくことをおすすめします。スピリチュアルな視点では、お守りは神様のエネルギーが宿る「依り代（よりしろ）」の役割を果たします。
お守りを持つことで、参拝した時の清らかな気持ちを日常生活でも思い出すことができます。その「思い出す瞬間」に、再び神様とのコネクションが繋がるのです。
また、御朱印には神社の印が押されており、その文字自体に言霊（ことだま）や力が宿っています。これらを持ち帰ることは、ご祈祷を受けるのと同様に、神聖なサポートを受け取る行為となります。
参拝のみの場合のメリットとデメリットを整理
参拝だけにするかどうかを決める前に、具体的なメリットとデメリットを整理しておきましょう。ご自身の状況と照らし合わせて、納得できる選択をすることが大切です。
体調優先で動けるメリットは大きい
最大のメリットは、体調や天候に合わせて柔軟に行動できることです。ご祈祷は予約が必要な場合も多く、当日の朝に体調が悪くてもキャンセルしづらいというプレッシャーがあります。
一方、参拝だけであれば、当日の朝に「今日は気分がいいから行こう」と決めることも可能です。また、滞在時間を短く済ませられるため、妊婦さんの身体への負担を最小限に抑えられます。
特に夏場の暑さや冬の寒さが厳しい時期は、短時間で切り上げられることが大きな安心材料になります。
費用を抑えて出産準備に回せる
経済的なメリットも見逃せません。安産祈願の初穂料（ご祈祷料）の相場は、5,000円から10,000円程度が一般的です。さらに腹帯やお札が含まれるコースだともう少し高くなることもあります。
参拝だけであれば、お賽銭と数百円から千円程度のお守り代だけで済みます。浮いた費用で、質の良いマタニティウェアを買ったり、産後のための便利なグッズを揃えたりと、現実的な準備に充てるのも賢い選択です。
お金の使い道を出産準備に回すことも、広い意味での「安産への準備」と言えるでしょう。
記念としての「儀式感」は薄れる可能性も
デメリットとしては、やはり「イベント感」や「儀式感」が薄くなることが挙げられます。ご祈祷を受けると、名前を読み上げてもらい、神聖な空間で祝詞（のりと）を聞くという特別な体験ができます。
これが「親としての自覚」を促すきっかけになることもあります。参拝だけだとあっさりと終わってしまうため、「なんとなく物足りない」と感じてしまう場合があるかもしれません。
後悔しないためには、参拝の後に記念撮影をする、美味しいランチを食べるなど、別の形で「お祝い感」を演出する工夫をすると良いでしょう。
参拝だけで済ませる場合の当日の流れとマナー
ご祈祷を受けないからといって、適当に済ませていいわけではありません。神様への礼儀を尽くすことで、より清々しい気持ちでお参りができます。ここでは具体的なマナーを4つのポイントに分けて解説します。
参拝の基本作法をおさらい
神社に着いたら、まずは鳥居の前で一礼してからくぐります。参道の真ん中は神様の通り道なので、端を歩くように心がけましょう。
手水舎（ちょうずや）で手と口を清めたら、本殿へ向かいます。お賽銭を入れた後、鈴があれば鳴らし、「二礼二拍手一礼」を行います（お寺の場合は静かに手を合わせる合掌が基本です）。
この時、すぐに願い事を言うのではなく、まずは「住所と名前」を心の中で名乗り、「この子が授かったことへの感謝」を伝えるのがポイントです。願い事よりも感謝を先に伝えることで、神様との調和が生まれます。
お賽銭の金額に決まりはあるの？
お賽銭の額に決まりはありませんが、語呂合わせで縁起を担ぐ方が多いです。例えば、「ご縁がありますように」という意味で5円玉を使ったり、「二重にご縁がありますように」と25円にしたりします。
もちろん、100円や500円でも構いませんし、紙幣を入れる方もいます。大切なのは金額の多寡ではなく、手放すことへの執着のなさと感謝の気持ちです。
投げるように入れるのではなく、そっと滑らせるように入れるのが美しい所作です。もし混雑していてお賽銭箱まで遠い場合は、無理に投げず、前の人に「お願いします」と託すか、空くまで待つゆとりを持ちましょう。
服装は普段着でいい？マタニティウェアの選び方
ご祈祷を受けない場合、正装である必要はありませんが、神聖な場所への訪問ですので「きれいめな普段着」が望ましいです。露出の多い服や、ダメージジーンズ、ジャージ、サンダルなどは避けましょう。
妊婦さんにおすすめなのは、お腹を締め付けないワンピースや、ゆったりとしたチュニックにパンツを合わせたスタイルです。足元は転倒防止のため、ヒールのないフラットシューズやスニーカーで大丈夫です。
あくまで「神様に失礼のない範囲」で、ご自身の体調と安全を最優先にした服装を選んでください。
お守りや腹帯は授与所でいただく
参拝が終わったら、社務所や授与所に立ち寄りましょう。ここではご祈祷を受けなくても、安産のお守りや腹帯（岩田帯）を購入することができます。
ご祈祷済みのお守りが並んでいることがほとんどですので、効果に変わりはありません。腹帯については、神社によってはご祈祷を受けた人だけにお渡ししている場合もあるので、事前にウェブサイトなどで確認しておくと安心です。
自分で買った腹帯を持参しても、ご祈祷なしの場合はお祓いしてもらえないことが一般的ですが、参拝の際に鞄の中に入れて一緒に持っておくだけでも、神社の気を受けることができます。
戌の日以外でも大丈夫？日取りとスケジュールの決め方
安産祈願といえば「戌（いぬ）の日」が有名ですが、必ずしもその日にこだわる必要はあるのでしょうか。現代の事情に合わせた日取りの選び方をご紹介します。
戌の日にこだわる必要はあるのか
戌の日が安産祈願に良いとされるのは、犬がお産が軽く、多産であることにあやかった日本の風習です。あくまで「縁起が良い日」であり、「この日でないと効果がない」というものではありません。
特に有名な神社では、戌の日の午前中は非常に混雑します。人混みで押されたり、長時間並んだりすることは、妊婦さんにとってリスクにもなり得ます。
スピリチュアルな視点では、あなたが「行きたい」と思い、スムーズに行動できる日こそが、あなたにとっての「最良の吉日」です。
大安や仏滅などの六曜は気にするべき？
六曜（大安、仏滅など）を気にする方も多いですが、これも絶対的なルールではありません。神道（神社）と六曜（中国由来の暦注）は本来関係がないとされています。
「仏滅だから縁起が悪い」と気にしてストレスを感じるくらいなら避けた方が無難ですが、カレンダー上の文字よりも、ご自身とパートナーの都合を優先して問題ありません。
最近では、混雑を避けるためにあえて仏滅や平日を選ぶカップルも増えています。神様は暦に関係なく、いつでもあなたを待っています。
天候や妊婦さんの体調を最優先にする重要性
最も優先すべきは、言うまでもなく妊婦さんの体調と当日の天候です。たとえ大安の戌の日であっても、大雨の日や、体調が優れない日に無理をして出かけるのは本末転倒です。
真夏の炎天下や真冬の凍えるような日も避けた方が賢明です。赤ちゃんを守るためには、母体がリラックスして過ごせることが一番の安産祈願になります。
スケジュールの組み方の例
・妊娠5ヶ月に入って最初の体調が良い休日を選ぶ
・混雑する午前中を避け、午後の温かい時間帯に行く
・戌の日にこだわらず、家族揃って行ける日を優先する
参拝だけにするか迷った時の判断基準とパートナーとの話し合い
最終的に「参拝だけ」にするか「ご祈祷も受ける」か迷った時、どのように決めれば後悔がないでしょうか。夫婦や家族での合意形成のヒントをお伝えします。
夫婦で大切にしたい価値観を共有する
まずはパートナーと、「安産祈願で何を大切にしたいか」を話し合ってみましょう。「伝統的な儀式をしっかり行いたい」のか、「二人のペースで思い出を作りたい」のかによって選択は変わります。
どちらかが無理をして相手に合わせると、後々「やっぱりああしておけばよかった」というしこりが残ることもあります。正直な気持ちを伝え合うことが大切です。
両親や義両親の意向を確認するタイミング
安産祈願は、夫婦だけの問題ではなく、両家の祖父母にとっても大きなイベントであることがあります。特に初孫の場合、親世代は「ご祈祷を受けるのが当たり前」と考えていることも少なくありません。
事後報告で「参拝だけにした」と伝えると、「どうしてちゃんとしなかったの」とトラブルになる可能性もあります。事前に「体調を優先して参拝だけにしたいと考えている」と相談し、理解を得ておくとスムーズです。
メモ：もし親御さんが強くご祈祷を希望される場合は、代理でご祈祷を受けてもらうという折衷案もあります。
無理のない範囲で納得できる形を見つける
妊娠期間中はホルモンバランスの影響で、普段より悩みやすくなるものです。しかし、安産祈願に正解はありません。
豪華なご祈祷を受けたからといって必ず安産になるわけではなく、参拝だけだったから難産になるわけでもありません。大切なのは、ママが心穏やかに「これで大丈夫」と思える選択をすることです。
夫婦で話し合い、納得して決めたスタイルであれば、それがあなたの家庭にとってのベストな形です。
安産祈願は参拝だけでも割合として珍しくない！心を込めることが大切
ここまで、安産祈願を参拝だけで済ませる場合の割合やマナー、心の持ち方について解説してきました。全体の3〜4割の方がご祈祷を受けない選択をしているという事実は、迷っている背中を押してくれたのではないでしょうか。
スピリチュアルな視点において最も尊いのは、形式や金額ではなく、神様への感謝と、赤ちゃんを想う温かい心です。ご祈祷を受けなくても、マナーを守って誠実にお参りすれば、神様は必ず優しく見守ってくださいます。
体調や家庭の事情に合わせて、無理のないスタイルで安産祈願を行ってください。あなたが笑顔で過ごすその時間こそが、お腹の赤ちゃんにとって一番のプレゼントになるはずです。